■ フェ・イ・ン・ト?
九州でだめだめな成績を取ってから、
運転も車両も根本から見直す必要性を感じていた。
車両の方は、結局ダンパーの劣化が原因だったけど、ドライバーの方はなんだかわからず、隘路にはまり込んでた。そこで西尾さんから出た指令が
フェイントの練習をしてください。
というものだった。
最初は、「は?」って感じだった。だって、フェイントなんて、グラベル サーフェスで使うもんでしょ
?舗装路じゃ必要ないやん、って思ってたし。意味がわかんなかった。
僕の練習を見ていたほかの人たちからも不審がられ(笑)、N
島君からも「なんでそんなことしてんっすか?」って言われたりしたけど、師匠の言葉を信じて、ひたすらフェイントの練習をした。フェイントの練習だけでタイヤがずいぶんなくなった。
普段からフェイントなんてやらないもんだから、自分ではできているようでも西尾さんから「それは単なる“蛇行”ですわ」と言われてがっかりもしたけど、やっているうちにちょっとずつ自分でも感覚がわかるようになってきて、だんだん練習の意味がわかってきた。つまり、
“フェイント練習指令”は、“フェイントをするための練習せよ”
という意味で出たのではないんだ。
ってこと。
僕の車両は、他の車に比べてリアの足の限界を高めてあるので、リアをふらふらにしてタイトコーナーを曲がる、というコーナリング手法は使えない。
西尾さんの“フェイント練習指令”は、この車両特性でタイトターンを曲がる際に、短時間でリアタイヤに適切なコーナリングフォース
(軸重に見合ったコーナリングフォース)
を発生させる方法を、手っ取り早く体得させるための練習方法だったのだ。
この練習で、コーナリングの引き出しが一気に増えた。西尾さん言うところの“フェイントモーションを使わないフェイント
(一旦逆方向に車を向けることをしないフェイント?)”ができるようになってきた。
西原 (正樹) 選手が、鈴鹿の公式プラクティスで、スタート後の左コーナー
(島回り。本番ではなくなっていた)
で車をコーナーにねじ込むようにコーナリングしていたのを見たとき、どうやったらこんな風に走れるのだろう、と思っていたけど、この“フェイントモーションを使わないフェイント(?)”がわかったことで、ようやくできるようになってきた。
それに、フェイントの練習をすることで、どんな姿勢になっても、いつでもブレーキのオン/オフで車両の向きをコントロールできる、という自信が付いた。だから、思い切って、突っ込んでいける。
西尾さんは、僕の運転スタイル
(突っ込んでタイムを出す)
というスタイルを理解してくれて、それにあわせた車両を作ってくれて、それを活かしきる練習方法を教えてくれたわけだ。
こんなにすばらしい師匠をもって、僕は幸せだ。
・・・
美祢ラウンドが終わってから、アジュールの川村さんに報告のメールをした
(川村さんは美祢には来ておられなかったので)。今年もいろいろとヒントをいただいたことのお礼が言いたかったからだ。
川村さんからは、表彰台は当然で特に驚くほどのこともない、これからも自分のスタイルを突き通してください、というご返事をいただいた。
川村さんは、僕がまだ全然ヘタッピ (今もヘタッピだけど)
の頃、おむすびくらぶのイベントで初めてお会いした。少しお話をさせていただいた程度だったけど、そのときも「他の人とは運転のスタイルがずいぶん違うけど、それはそれで良い所だし、そのスタイルを通していくべきだよ」という
ご助言をいただいた。インテグラに乗り換えて、久しぶりにお電話したときも僕の運転を覚えていていただいて、それ以降もずいぶん目を掛けていただいた。西尾さんに見てもらうようになるまでは、迷うたびに川村さんから「そのままで良いから、自信を持ってやりなさい」と勇気付けていただいてきた。西尾さんに車を見ていただくようになって、スーパーオーリンズから KYB にアシが変わった後も、川村さんはまったく変わらず接していただいた。
もし、西尾さんや川村さんに出会わなかったら、きっと途中でくじけていただろうな、と思う。
(次回に続く・・・) |