■ はじめまして

このコーナーを始めようと思ったのは、「天才は凡人を教えられない」という考えからです。

僕は、「超」のつく凡人ですので、「凡人」の悩みは本当に良く分かります。
たとえば、アイルトン セナやミハエル シューマッハが、運転の仕方を書いた本を読んだりするでしょうか?そんなことは絶対にありません。なぜなら、彼らはそんなことを教わらなくても、最初から分かっているからです。

では、私が運転のことをちゃんと教えられるのか、というと確かに疑問はあります。

そこで、このコーナーでは、「どんな練習をしたら良いかわからない」とか、「競技用のパーツを入れると街乗りができなくなってしまう のでは」といったことを、 僕が自分なりに考えたり先輩などから教えてもらったりしたことを中心に書いていこうと思います。

■ 自分の最高の走りをコンスタントに引き出すには

なんだか、いきなりな話題ですが、本質だと思うので少し書かせてください。
重量挙げとかを除けば、基本的には、スポーツの本質は「脳の活動」だと思います。モータースポーツも同じですよね。
限られた時間の中で、どれだけ自分の作り上げたイメージと実際の動きを一致させるか、という作業だと思うのですね。
「乗れている」ときは、コーナリング中、スムースな動画みたいに風景や車の動きを感じられるのに、「乗れていないとき」は パラパラ漫画くらいにしか動きが感じられないことってありませんか?コーナーに入ったと思ったら、あっという間にコーナーが終わっていて、どんな風に車が動いたか細かくわからないことって、誰でもあると思うのです。

つまり、こういった脳でのイメージ処理を、自分の能力の最大限でコンスタントにできれば良いわけですよね。
では、どうするか。
大脳が処理に使用できるのは糖だけですから、これを効率的に燃やしてやれば、自分の脳に培ったイメージを引き出しやすくなるわけですね。つまり、「乗れている」状態に近づけてやるわけです。これには、

1) 燃やすための糖分を補給し、血糖値を上げておく。

2) 糖分を燃やすための酸素を多く脳に運べるようにする。

3) 糖の燃焼効率を上げる補酵素(ビタミン)を補給する。

4) 単位時間当たりに視覚細胞を通して、脳に入力される情報の変化量を減少させる。

の4要素をそろえてやれば良いわけです。

1 と 3 については、方法はすぐ考え付くと思います。
まず、競技前、吸収しやすい形の糖分を多めに摂り、ビタミンB群を含むビタミン剤を服用しておく、などです。

2 についてはいろいろ方法は考えられます。
一番建設的(笑)な方法は、心肺機能を鍛えて、脳に多くの酸素を届けてやれるようにすることですね。他にもいろんなやり方が考えられますが、私は医学の専門家ではなく、ここで書くことで身体に何か問題が起こった場合責任が取れませんので、書かないでおきます。
でも、大体想像は付くと思います。

4 については、走行中の目線が大変重要になります。
適切な場所に目線を置き、コーナリング中の視線変化を減少させ、脳に入力される映像情報の変化量を抑えることで、脳が映像処理で“いっぱいいっぱい”ならないようにします。
そうすれば、脳は、“イメージどおりに車を動かしラインに乗せる”ための処理に注力できるわけです。
(この 4 については、「ドライバーを一皮剥くぞ」練習会で、実際にどうすれば実現できるかを練習してもらっています。)

これって、随分効くんですよ。
一度試してみてください。

ヘタッピ  プロフィール:

インプレッサで本格的にジムカーナを始めるが、1ヶ月でトランスミッションを3回破壊し、シビック タイプ R への買い替えを決める。
翌 98年から JAF 戦を追いかけはじめ、3 年もかかってようやく 2000 年 JMRC近畿フレッシュマンシリーズで満点チャンピオンに。
2003年は JAF 近畿地方選手権 S1 クラスに参戦 (5戦のみ) し、SA1 クラス シリーズ 4 位。
2005 年 JAF 全日本ジムカーナ選手権 N2 クラス 年間シリーズポイント 9 位。