■
良い師匠の条件
このサイトの LINX にある EXE
スポーツの中島さんの「研究会レポート」にも書かれているので、そちらが大変参考になると思います。
まず、そちらを読んでいただいて
(手抜きだ(笑))、それに付け加えて、私の思うことを。
・・・
いきなりですが、僕は阪神タイガースのファンです。
小学生のころは野球少年で、1日中野球をし、暗くなってボールが見えなくなったら、家に帰って晩御飯を食べながら野球中継を見ていました。
その頃の僕のアイドルは、タイガース不動のショートストップ 藤田 平
(以下、敬称略)
でした。彼は生まれもってのセンスと文字通り血のにじむような努力ですばらしい打撃技術を手に入れていました。
彼は、タイガースの監督で思うような成績が残せず、解説者になりました。
僕はどうして彼が監督として上手く行かなかったのか良くわかりませんでしたが、最近彼の解説を聞く機会が増えて、その理由がなんとなく理解できました。
彼が解説をしていたときのことです。アナウンサーが「彼 (そのときのバッター)
は軸足に体重を残して、軸足を中心に体を回転させて打つ方法に変えてから調子が上がってきたようです。」と言いました。この打法は、球が速く小さく変化するボールが主流となっているメジャーリーグでは主流となりつつある打法です
(硬式テニスのフォアハンドに近い。日本人では、松井(ヤンキース)、松中(ホークス)、(一昨年からの)
藤本 (タイガース) などはこの典型です)。
そのとき彼(藤田平)は、こう言いました。
「軸足というものはだね、後ろから前へと移動するものです。彼 (バッター)
の言っていることがまったく理解できん。イチローを見なさい。体重が移動しているでしょう。それが打撃です。それがわかっていないとは嘆かわしい。」
というようなことを言いました。
僕はそれを聞いて驚きました。藤田平やイチローのような打法
(重心移動を大きく取る打法)
は確かに非力な選手でもボールを飛ばすことができる打法ですが、非常に高度なバットコントロールが要求されます。それは藤田平やイチローだからできる、という面もあるのです。
彼はその成功体験から、自分の考え方が 100%
正しい、と思っているので、他の考え方をまったく受け入れようとしないのです。
プロ野球で監督やコーチが変わると突然活躍する選手がいます
(イチローもそうだった)。
あれは別に上達するわけではなく、自分を一流と自負している選手が監督(特に“自称
努力の天才”タイプの監督)は、自分の考え方と違う選手を排除する傾向があることが原因なのでしょう。
イチローも元巨人の土井が監督のときは、土井が理想とする打ち方でないため、排除されました。
自分が苦労の末に発見したことは正しいと思い込んでしまい、自分と異なる考え方は排除してしまいがちになるのでしょう。
他にも、いわゆる“スポ根”練習しかやらない監督もいました。
かわいそうに、将来有望な選手は彼の下で多くつぶれてしまいました。
それに対して、ロッテのバレンタイン監督やヒルマン監督は、体より頭を使ってより効果的に練習させる方法も取りいれ、選手の自主性を重視しています。
人は神ではないし、常に間違える可能性があります。それは仕方がない。間違えることが成長の糧になることもありますから。
ただし、人を指導する場合は、それではすみません。
他者に影響を及ぼすからです。
・・・
そこで、僕の考える良い師匠の選び方ですが、
【良い師匠だと思う人】
“「私には知らないことがある」
ということを知っている”人
違うとわかっていても、トライするのを見届けてくれる人。または、面白がって一緒にトライしてくれる人。
【師匠にしてはいけないと思う人】
「私はこのやりかたで成功した。私の周りにもそれで成功している。だから、私が
100%
正しい。他のやり方はありえない。知り合いの全日本ドライバーもそういっている」と言う人
「私にはわからないことはない」と言う人
自分と違う意見を持つ人を排除する人。確かめもせず、最初から違う考えを否定する人。
“常識”を疑わない人。
いかがでしょう?
競技に参加する人の背景は、それぞれまったく違います。
練習したくても、どうしてもできない人もいます
(彼女とスキーに行きたいから練習できない、とか、飲み代がかかってタイヤが買えない、とか、言う人は論外)。
「お金はないけど、時間はいっぱいあるから、腕で車の能力をカバーして、高性能車をやっつけたい」という人もいます。逆に、「時間がないけど、いっぱい仕事をしているので車にはお金をかけられます。がんばって仕事して、お金をためて車の能力で上手い連中をやっつけたい」なんて言う人もいて当然だし、それはそれでひとつの努力の形だと思います。
そういったスタイルの違いもちゃんと理解してくれる人が理想だと思います。
(次回に続く…)
|