西尾流セッティング@名阪 C コース

前回も書いたけど、テスト当日、朝、準備が終わったとたんに大雨が降り 、路面はヘビーウェット。
その後、完全に雨が止み、カンカン照りに。昼前には完全ドライ。
午後からは、路温も 50 ℃ 〜 52 ℃まで上昇。1日だけで、ヘビーウェットから真夏のドライまでテストできた。

KYB のダンパーは、4段調整だけど、ニードルバルブなどで減衰力を変化させるのではなく、オリフィスを 4 組持つ構造のため、「特性自体」を 4 種類持たせることができる。つまり、4 種類のダンパーを 1 本の中に組み込んだようなもの (つまり、伸/圧の最適なペアを 4 種類持たせることができる)。

この日は、1日かけて、ダンパーとスタビのセッティングだけを行うことになった。

西尾さんのセッティングの基本は、「迷う要素を減らすこと」。
たとえば、ダンパーの減衰力の設定だけでも、前 4 x 後 4 = 16 通りもある。それだけでも大変なのに、それにスプリング、スタビなどが絡んでくると、何がなんだかわからなくなる。
そこで、たとえば、スプリングはとりあえず推奨値で決め打ちし、ダンパーの減衰力とリアスタビだけで、一番よいセットを出し、どれだけやってもこれ以上は無理、というところに来てから、他の箇所を変える、という方法。

今回は、まさにその「たとえば」どおりの方法でセッティングを開始。
まず、超ヘビーウェットの朝一 (路温23℃、走行前タイヤ温 24℃) は、減衰 F1、R1 (前後最弱)。走ってみると、ちょうどよい感じで、タイムもかなり良い。(走行後タイヤ温 F 33℃、R 29℃)

西尾さん: 「他の車と比べたら、これでもまだ少し硬いくらいですが、これ以下の減衰がないから選択の余地なしですね。「大雨」の日は F1、R1 で決まり。ただ、雨の時用にリアスタビをやわらかいものも試してみましょう。」

そこで、リアスタビを 98 純正の 23mm から EG6 用の 15mm に変更。
すると、リアの外側の面圧が不足し、姿勢が決まって「よっしゃアクセルオン」という瞬間にリアがフロントを追い越していくようにスライドしてロスってしまう。

西尾さん: 「走行後のタイヤ表面温度から言っても、やっぱり、このダンパーだと、リアスタビはノーマル付近が良いようですね。 細いスタビだと、外アシの面圧があがらないみたいです。大雨でも、リアスタビは 22 か 23、減衰は F1、R1 ですね。」

と、言っているうちに、西尾さんは、さっさとスタビを交換して、すぐに走れるようにしてくれる。

徐々に路面は乾き、路温も 28℃ に。さすがにこの路面温度&ハーフウェットでは、F1、R1 ではダンピング不足。

西尾さん:「この路面やのに、意外とダンピング不足を感じますね。 走行後のタイヤの内外の温度差から言っても、このくらいなら F2、R2 の法がいいかもしれません。それで行ってみましょうか。」

走行しているうちに、陽が出てみるみる路面が乾き、ほぼ完全ドライに。が、その割りにタイムは思ったよりあがらない。全日本九州のセッティングに来ていたK保選手も「思ったより食わないですね〜。ドライになったら、FR のタイムの上がりはかなりあると思ったのだけど」と浮かぬ顔。

そのドライ路面 (路温 34℃) を、F2、R2 で走ってみる。タイム比較のために、全日本上位を走っているK保選手が走行するのにあわせて直後に走ってタイムを比較した。

K保選手 FD3S RX7 (N3 クラス) :57"728
VTEC-FREAK.NET 号 (N2 クラス) : 55"966
K保選手 FD3S RX7  :54"512
VTEC-FREAK.NET 号: 55"344

乾いてくると、さすがにK保選手の RX7 は速い!

西尾さん:「ドライになって、初めてのアシで、K保選手のに完全ドライでこの差なら、十分じゃないですか。 走行後のタイヤ温も結構良い感じになってますよ。」

(さて、午後からの本格的な夏路面でのセッティングはどうだった??、次回を待て?!?)

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