2004 全日本ジムカーナ #8 鈴鹿ラウンド

名阪でのセッティングの続きを書こうと思っているうちに、プロジェクトが立て込み、気が付くと全日本鈴鹿ラウンドが終了していました(苦笑)。

西尾 (雄次郎) さんは、WRC Rally Japan 出場のため、全日本鈴鹿ラウンドには来られないはずだったのだけど、急遽サービス&チーム監督で、鈴鹿に金曜日から入ってもらえることになった。

7月にサスペンション、駆動系、ブレーキと徹底的に見直して、ドライバーも走りこみ、 西尾さんにも「これだけ、徹底的に時間や労力をかけてやっている人は、多分ほとんどいない」と言われるくらいやってきたので、気分的にもすっきりした形で鈴鹿に入れた。

今年は、資金と時間を集中させて効果的に投入できるように、年間3戦に絞ったので、もうこれが今年最後の参戦。「参戦数が少ないと、結果を出そうと萎縮してしまうのが心配」と西尾さんが言っておられたのだけど、それが現実になるとは、このときは思ってもなかった。

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金曜日のフリー走行も、ゼッケン順での走行。

1本目、N2 勢は殆ど1分を切れないような路面コンディション。少し何か路面に浮いているような感じ。特に2コーナーがスリッパリー。
まず、1本目と2本目は、タイヤの残り溝とタイムの関係を見るため、1本目は山の低いユーストで走行。
タイムは 59"6。1本目 N2 クラス全車走行後のトップタイム。なかなか良い滑り出し。
2本目は、完全なニュータイヤでトライ。もちろん、毎回本番だと思って走っているけど、特にニュータイヤでの走行は1回しかできないので、きっちり走らなければならない。
タイムは、59"3 フラット。もちろん、この時点ではぶっちぎりのトップタイム。N2 シリーズリーダーの矢島選手にも、「ちょっと追いつける気がしない」と言われたくらい、車もドライバーも絶好調だった。
「多分、このタイムは抜かれないでしょう。もう、大体自分のポジションがわかったし、タイヤを温存するために、この後は山の低いユーストで調整しましょう (by 西尾さん)」ということになり、車高などの微調整をユーストで行うことにした。その後もコンスタントに各セッションのトップタイムが出せて (最後のトライは大失敗したけど)、気分良くフリー走行を終了できた。結局、2本目の 59"3 は誰にも抜かれることなく、金曜日のフリー走行は終了。

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土曜日の公式プラクティス。
朝、会場入りして、準備をしているといろんな人に声をかけられた。
「昨日、タイム良かったらしいね」
「なんか、すげぇタイム出したんだって?」
お世辞半分、からかい半分、というところだろうけど、N3 の鰐部さんなど僕が一方的に面識のある (笑) 人たちや、アジュールの川村さんなどからそういう風に声をかけてもらえると、やっぱりうれしいもんです。
でも、結果論だけど、これがあだになっちゃった。
土曜日の公式プラクティスは、1本のみ。1'15"3 で4位に付ける。ま、サーフェスの変化にも助けられたけど、自分としては、ずいぶん失敗したのに、という感じ。

公式プラクティス リザルト

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日曜日の決勝。
金曜日、土曜日の感じから、「そこそこ走れば、そこそこの結果が出そう」なんて思ったのがそもそもの誤り。
全日本はもちろんそんなに甘くない。全国のトップドライバーがしのぎを削る全日本では、どんなトップドライバーでも「そこそこ」の走りなんてしていない。当然みんな限界の走り。それなのに、ヘッポコな私が「そこそこ」の走りなんてしたら、どうしようもない順位になるのは当然。

1本目、中間タイムはかなり良かったのだけど、シケインに抜けるショートカットのブレーキング後、突然バイブレーションがひどくて運転できる状態じゃなくなった。

「インボードの噛み込みだ」

とすぐわかった。ジャンプの着地か、その後の下りのブレーキングで右側のシャフトのインボードが噛み込んだんだろう。バイブレーションを必死で抑えながら走りきった。
1本目、12位。ペナルティで沈んでいる上位陣があるので、実際にはもっと遅いはず。降りてすぐに西尾さんにシャフトの噛み込みを説明し、すぐにスペアシャフトに交換してもらう。シャフトをはずすとやはり右側のインボードが噛み込んでいた。念のため、左側もスペアのシャフトに交換。
サービスのN島君とS田(兄)君もすばやく対応してくれて、あっという間に終了。
「前半はタイムも走りも良かったし、シャフトがこれで、12位なんやから、十分上位に食い込むことは可能ですよ」と西尾さんに言っていただき、2本目の走行にかける。

2本目、自分では、悔いのないように思い切って行こうと心に決めていたはずなのに、実際にはとんでもなく萎縮した走りになってしまう。中間こそ、トップタイムから 0.5 秒落ちにつけたものの、最終的には 16位 (34台中) と低迷してしまった。
なんと、より路面の悪かった前日の公開プラクティスより、0.4 秒も遅い・・・

結局、西尾さんが言っておられた「参戦数が少ないと、結果を出そうと萎縮してしまう」ということが現実になってしまい、自分でも本当にがっかりした。メンタルを鍛えないと、これでは絶対に成績が出ない。
あと、練習でいつも1分未満の短いコースを走り慣れてしまっているので、1分を超えたとたんに集中力が途切れてしまう。長いコースでの練習が必要だな。

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ただ、今回の鈴鹿ラウンドでは、車両のレベルは全日本でもトップレベルに近いことが確認できたし、後はドライバーが頑張るだけ、とわかったことは本当に大きい。

新井選手のような「練習でも本番でも、まったく同じライン、同じ姿勢で車をコントロールする」だけのテクニックとメンタル、矢島選手のような常にぎりぎりで攻める走り、津川選手のような「どれだけ調子が良くても現状で満足しない姿勢」を吸収していかねば、と思った鈴鹿ラウンドだった。

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最後になったけど、早朝からサービスに来てくれた、N島君、S田(兄)君、M田さん、遠方からはるばる激励に来てくれた沢山の方々、パドックでいろいろ情報をくださったガレージTTの皆さん(Tシャツもありがとうございました)、そして何より、付きっ切りでセットアップからサービスまでしていただいた西尾雄次郎さん、本当にありがとうございました。

(名阪のセッティングの続きはこの次に書きます。すみません・・・)

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